私たちはいつ頃から化粧をするようになったのでしょう。歴史を遡ると、既に古代エジプトで化粧をしている絵画が見つかっているそうです。当時の化粧品は鉱石を粉にして液体に溶かしたもの等で、日焼け止めに黄色い顔料を肌に塗っていたことが、やがて王族や神官たちに習慣として定着したようです。

化粧は主に上流階級の習慣でしたが、19世紀に入って医薬品メーカーが化粧品開発に関わるなど、安価に化粧が出来るようになりました。日本でもお歯黒や白粉などの化粧品を使う習慣が明治初期までありましたが、現在の西洋風の化粧が日本に登場したのは関東大震災後、モガ(モダンガール)と呼ばれた一部の女性たちが出現してからとされています。

戦後1950年代の日本では肌色が重視されピンク系のファンデーション等が流行しましたが、70年代には溌剌としたイメージを演出する化粧品としてオレンジ・イエロー系のファンデーションが好まれました。70年代後半から80年代にはいわゆる「ナチュラルメイク」が広まり、自然な顔に見せる化粧品が主流になっていきます。

90年代に入ると紫外線の害が知られるようになったため、美白化粧品が登場。口紅の色が濃くなり、しっかりと白系のファンデーションを施すようになります。その後口紅の色はベージュ系が好まれるようになり、素肌の質感を残す「癒し系メイク」が流行、一時期廃れた細い眉やマスカラが復活しました。2000年代になるとファッションの多様化が進み、ナチュラルメイクが多数派になっているものの、濃い色のチーク・ファンデーションを好む人も。またヘアエクステ・まつ毛パーマなど化粧品以外の方法も取り込んだヘアメークがブームになりましたが、東日本大震災を契機に一気に自然派化粧品に代表されるナチュラル系に回帰しました。

この様に時代と共に流行が変化してきた化粧のこれからは、日本古来の「赤」「白」「黒」を基調とした和の化粧を現代風にアレンジしたものが流行するという予測があるそうです。